インスタだけで社員10人・パート30人を採用した“映える八百屋”の秘密

「若い人が全然集まらない…」
そんな悩みを抱える企業が多い中、とある八百屋が“ある方法”で20~30代の社員10人、パート30人の採用に成功しました。しかも、求人広告や採用サイトは一切ナシ。使ったのは「インスタグラム」だけ。
どうやってそんなことが可能だったのでしょうか?
「映える八百屋」という逆転の発想
この八百屋のはじまりは、元スーパー勤務の社員が独立して開業したお店。
彼が打ち出したのは、
「映える八百屋」という、従来のイメージを覆すコンセプトでした。
ただ野菜や果物を売るのではなく、カラフルなフルーツサンドやスムージーを開発。
商品の見た目・お店の雰囲気・スタッフの姿まで、すべてが“インスタ映え”を意識したデザインに。
この戦略が、若い世代の心をしっかりつかんだのです。
Z世代が「仕事を選ぶ」流れを理解していた
現代の20代~30代、とくにZ世代は、仕事選びの価値観がこれまでと大きく違います。
ポイントは、「好き」が原点になっているということ。
そして、気になったものをとことん調べる――いわゆる“ディグる(掘り下げる)”習性も特徴です。
つまり、
- 「これ、ちょっと面白そう」と思ったら、その店のインスタを過去投稿までチェック
- お店の世界観や価値観に共感したら、「ここで働きたいかも」と自然に思う
そんな流れで職場選びをするのが、今の若い世代なのです。
実践した3つのステップ
① 明確なコンセプトで「好き」の引き金を作る
まずは、「映える八百屋」という分かりやすい世界観を打ち出しました。
投稿では、カラフルな商品や内装、笑顔のスタッフを頻繁に紹介。
「この店、ちょっと変わってて面白い」
「こんな八百屋で働いてみたいかも」
──そんな風に思わせる入り口をつくったのです。
② 「もっと知りたい」と思わせる投稿を継続
投稿内容は商品紹介だけではありません。
- フルーツサンドの裏話
- スタッフの日常
- 商品づくりのこだわり
- お客さんとのエピソード
など、多面的な情報を惜しみなく発信。
“ディグりたくなる”=「どんどん遡って知りたくなる」投稿設計が徹底されていました。
③ 「共創者」目線で募集する
求人投稿では、「販売スタッフ募集」などの一般的な募集文ではなく、
「映えるフルーツサンドを自分で企画・制作し、インスタ投稿も任されるポジション」といった、“共創者”としての役割を明示。
このことで、若者は「ただのバイト」ではなく、
「自分の感性を活かして、この店の世界観を一緒につくる仲間なんだ」と感じるようになりました。
応用できる業種は他にもたくさん
この考え方は、他の業種にも応用可能です。たとえば…
- 美容室:「スタイリング×SNS発信」で自己表現できる役割を提示
- カフェ:ドリンクの開発から撮影・投稿まで一貫して任せる「ドリンククリエイター」募集
- 小売店:店舗発信専属スタッフとして、商品の魅力を自由に発信するポジションを用意
どれも共通しているのは、「ただの作業者」ではなく**“共創する仲間”として迎える姿勢**です。
成功のポイントは、「価値観の共感」と「共創者ポジション」
若い世代は、働く場所に“意味”や“共感”を求めています。
給与や待遇ももちろん大事ですが、それ以上に、
- 自分の「好き」が活かせるか
- 自分の表現が尊重されるか
- 価値観が合う人と一緒にいられるか
といった“居場所感”が求められているのです。
今日からできる3つのアクション
- 自社の世界観を言語化する
→「なぜこのお店をやってるのか」「どんな雰囲気で働いてほしいか」を明確に - 日常や価値観が伝わる投稿をする
→商品以外にも、スタッフや裏側などを日々発信 - 「一緒に創る仲間」として求人する
→応募者に役割と“ワクワクする余白”を与える表現に変える
まとめ
採用に困っている企業ほど、採用設計を「条件」ではなく「共感」から始めてみるべきかもしれません。
この八百屋のように、「映える」や「共創」という軸で採用に取り組めば、求人サイトに頼らずとも、自然と魅力的な人が集まってくるはずです。