「顧客を採用する」という逆転発想で、採用費ゼロを10年続けた会社の話

こんにちは。
今回は、ちょっと非常識だけど効果抜群な「採用戦略」の事例をご紹介します。

舞台となるのは、とある小さなマーケティング会社。
この会社、なんと創業から10年間、一度も採用費をかけていないにもかかわらず、必要な人材を着実に確保し続けてきたのです。

求人広告や人材紹介サービスは一切使っていません。
彼らが実践してきたのは、「顧客を採用する」という、一風変わった方法でした。

◆なぜ「顧客採用」がうまくいくのか?

多くの企業が採用に苦戦し、高額な広告費や紹介手数料を払っても、なかなかマッチした人材が見つからない…そんな中、この会社が注目したのが、自社のファンである顧客です。

理由は大きく3つあります。

1. すでに企業を理解している

商品やサービスを体験した顧客は、その企業の雰囲気や価値観、対応の仕方などを肌で感じています。ゼロから説明しなくても、企業の本質を知っている状態なのです。

2. 共感・信頼を持っている

この会社に応募してくる顧客は、「ここなら一緒に働きたい」と自然に思ってくれています。企業理念や姿勢に共感しているため、入社後のモチベーションも高く、社風との相性も良好です。

3. 採用コストがかからない

すでに構築されている顧客コミュニケーションの中でアプローチするため、新たなコストをかけずに人材採用が可能です。DMやメルマガ、SNSなどで、情報を届けるだけでOK。

◆実践事例:屋根修理会社での活用

この採用手法を、別の業種である屋根修理会社に導入したところ、事業拡大に向けて必要だった事務スタッフ3名を短期間で採用することに成功しました。
しかも、現在に至るまで安定した人材確保が続いているとのこと。

彼らが行った具体的なステップはこうです。

ステップ① 過去顧客に採用情報を発信

まず、過去の施工依頼者に向けて「新しい仲間を探しています」というお知らせを送付。
単なる求人情報ではなく、「誠実な仕事をこれからも続けていくために、一緒に支えてくれる仲間が必要です」と、企業の理念や想いを込めたメッセージにしたそうです。

ステップ② オンライン相談で相互理解

興味を持ってくれた顧客に対しては、Zoomで個別相談の場を設けました。
応募者も、知っている会社の担当者と話すことで緊張が和らぎ、互いに本音で話せる関係性が生まれます。

ステップ③ 面接では「価値観の一致」を重視

最後は面接ですが、すでに信頼関係や企業理解があるため、「どんな仕事がしたいか」「どんな働き方を望んでいるか」など、より本質的な対話が可能になりました。
結果として、入社後のミスマッチも少ないのだとか。

◆他業種への応用も可能!

この「顧客採用」の手法は、業種を問わず応用できます。
例えば――

  • 美容室:常連のお客様に「うちでスタイリストを目指しませんか?」と声をかける
  • 飲食店:「このお店の雰囲気が好き」と言ってくれるお客様をアルバイト候補に
  • ネイルサロン教室:長年通っているお客様に「この技術を仕事にしてみませんか?」と提案

どの例でも共通しているのは、「企業のファン」から仲間を募るという視点です。

◆今すぐできる3つのアクション

  1. 顧客データベースを活用
     既存のお客様の中に、「もし一緒に働けたら楽しそう」と思っている人がいるかもしれません。
  2. 誠実なメッセージで採用情報を発信
     単なる求人ではなく、「なぜ人を求めているのか」「どんな未来を目指しているのか」を伝えることで、共感が生まれます。
  3. 相談や面談の体制を整える
     個別対応ができるように、オンラインでの面談や説明の仕組みを用意しておきましょう。

◆「顧客採用」は信頼のある企業だからこそできる

「求人広告が出せないと採用できない」
「採用にはお金がかかる」

そんな常識を覆すのが、この顧客リクルーティングという発想です。

もちろん、この方法が成立するのは、顧客と真摯に向き合ってきた企業だからこそ
日々の誠実な仕事が、そのまま採用力につながる。そんな、健全で持続可能な採用のかたちです。